2013年1月6日(日)晴れ時々曇り
【標高】
近鉄鳥羽線朝熊駅(10m)~朝熊ヶ岳(555m)
【コースタイム】
朝熊駅(8:25)~であいの広場・朝熊岳道(8:40)~朝熊ケーブル軌道跡(8:55)~朝熊峠(9:30)~金剛證寺(9:50)~
朝熊山上レストハウス(10:05~11:00)~金剛證寺(11:30)~朝熊ヶ岳山頂(11:40~11:55)~朝熊山経塚群(12:05)~
朝熊峠・宇治岳道(12:20)~楠部峠~楠部山下(13:20~14:00)~神宮司庁職員駐車場(14:15)~内宮(14:30~15:10)~イオン伊勢P(15:40)
昨年に引き続きまして、季節ネタを一席。
「
伊勢へ参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」
朝熊山は伊勢神宮の北東に位置し、地デジ中継局のアンテナのある朝熊ヶ岳(555m)を最高峰とするなだらかな山群の総称である。伊勢周辺の平地からは、朝な夕なに望む事のできる郷土の山の一つでもある。
山頂付近にある臨済宗の金剛證寺は、伊勢神宮の鬼門を守る寺として、昔から伊勢の参宮に合わせた参詣者が絶えない、由緒正しき名刹である。
現在は伊勢志摩スカイライン経由、車で簡単に訪れる事が出来るが、昔の参詣者達は、宇治岳道、あるいは朝熊岳道などの山道を利用して、てくてくと自分の足のみを頼りにして参詣したものである。
2013年。新春のお伊勢さんそぞろ歩き。
今回は往年のお伊勢参りを偲びつつ、霊験あらたかに新春の朝熊山をかけてみる。
朝熊岳道をゆく
朝熊山の最もメジャーな登山ルートは朝熊岳道である。
朝熊の集落内の狭い道を抜けて、駐車場のある「であいの広場」へ。ここが朝熊岳道の登山口。
今回は、内宮へ周回する予定なので、五十鈴川駅傍のイオンに車を停め、電車で一駅、朝熊駅がスタート地点。新春の休日らしく、出会いの広場の駐車場は既にほぼ満杯。ちょっぴりのんびりスタートの登山者をよそに、ご来光目当ての人達が既に下山してくる時間である。
朝熊岳道は、しっかりと整備された登山道が、朝熊峠に向かって粛々と連なっている。道の傍らには、一町(およそ109m)おきに、立派な石碑や石仏が立ち並んでおり、一つずつ数えながらたどると、山登りのよい目安にもなる。
※九町~十町は登山路から外れている。
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一町(109m)ずつ数えながら、朝熊岳道をゆく |
東洋一のケーブルカー
しっかりと歩きやすい岳道を15分程たどると、朝熊登山鉄道のケーブルカー軌道跡を跨ぐ橋に到着する。戦前、ここに朝熊村の集落から朝熊山上までのケーブルカーが運行していたという。大正14年開通。線路長1078m、高低差418m、最急勾配32度という往時日本最急勾配を誇る軌道に、チョコレート色の車体のケーブルカーが、所要9分余りで、参詣者達を山上へと運んでいたという。戦中の軍需物資調達により軌道が撤去されて以来、ついに復活する事なく、昭和37年に廃止されてしまった。ケーブルカー最盛期の頃は、今となっては想像も出来ないほどの一大歓楽街が、朝熊山上に広がっていたという。
ケーブルカー軌道跡の傍らから、今も変わらぬ伊勢平野の広がりと伊勢湾の眺めを眼下にしつつ、往時の山上の賑わいに暫し思いを馳せてみる・・・
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登山道傍らには、戦前、東洋一と言われたケーブルカーの軌道跡が・・・ |
金剛證寺への道
山麓より二十二町。およそ2.4kmで朝熊峠に到着する。ここは朝熊岳道と宇治岳道の合流地点。
眼下には、内宮神域を流下する五十鈴川の河口が雄大に広がり、その奥、伊勢湾に沿って肥沃な伊勢の平野が延々と連なっている。ここ朝熊峠は、朝熊山唯一の旅館「とうふ屋旅館」の跡地でもあり、宿泊客には、この伊勢の平野の雄大な眺めが、最高のご馳走にもなった事であろう。
ケーブルカー山上駅より「とうふ屋旅館」を経由して、金剛證寺山門までのおよそ2km。往時は「朝熊山登山バス」が片道の運賃20銭で、参詣者を運んでいたという。
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二十二町(2.4km)、朝熊峠より五十鈴川河口付近を望む |
朝熊峠からの山道を20分程たどると、金剛證寺本堂の裏手辺りに降り立つ。
金剛證寺は、6世紀半ば創建とも言われる古刹で、その昔、弘法大師空海が真言密教の道場として整備したとも伝えられている、由緒正しき名刹である。その後一時荒廃していたものを、臨済宗の禅寺として再興され今に至っている。
空海お手堀の池と伝えられる連間(つれま)の池では、初夏の頃、池全体が睡蓮の花に覆われ、山上の名刹に幽玄な雰囲気を漂わせてくれる。
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古刹、金剛證寺の仁王門 |
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弘法大師が掘ったと伝えられる連間の池 |
朝熊山上レストハウスにて
金剛證寺より目と鼻の先、伊勢志摩スカイラインの最高点に、観光客達の憩いの場「朝熊山上レストハウス」がある。
昔は展望レストランが営業していたが、現在は売店と展望足湯のみが営業している。営業施設の寂れ感は満載であるが、ここから望む鳥羽湾方面の爽快な眺めは、今も変わらず秀逸である。
答志島、菅島、坂手島、神島。波穏やかな鳥羽の海に浮かぶ4島と、対岸には知多半島、渥美半島。条件に恵まれれば、神島の左上辺りに、秀麗富士の姿を拝む事も可能である。
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朝熊山上より、鳥羽の海を望む |
その眺めは、レストハウス2箇所に設置してある展望図によって確認する事ができる。
この展望図、鳥羽の島の様子と富士山の位置関係については、デフォルメながら実に旨く表現されている。しかしこの展望図、個人的にはどうしても許せない箇所が一箇所ある・・・
今回の散策は、実はその事を確認する取材を兼ねた散策でもある。ただし、ここで語りだすと長くなってしまうので、この件については
別途記事にしたいと思っている・・・(苦笑)
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曰く付き展望図?詳細は別途報告します・・・ |
山上レストハウス周辺は、朝熊山上広苑として、マイカー観光客にも手頃な散策路になっている。
5月のツツジの咲く頃は、山上広苑一帯が約6000本ものツツジの花に覆われ、春の色彩に彩られた華やかな光景が山上に広がる。
されども、本日は身を切るように冷たい強風なり・・・山上広苑を散策する観光客など皆無の中、ひとり人気ない散策路をとぼとぼと彷徨してみる。散策路先端まで行くと、朝熊ヶ岳山頂と伊勢平野を見渡す展望地にたどりつく。冬晴れの青空の下、眼下には遥かに続く伊勢平野と伊勢の海。朝熊ヶ岳の足元には、伊勢の市街地が箱庭の様に密集している。御幸道路の大鳥居も見下ろすことができる。
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山上広苑より朝熊ヶ岳山頂と伊勢平野を望む |
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手前伊勢道の奥に伊勢市街を望む。御幸道路の大鳥居もちら見。 |
暫し爽快な眺めを満喫した後は、強風を避けるように鳥羽側の斜面で一休み。
ここで新春の第一弾。恒例、お楽しみの山のおやつの時間と洒落込んでみる♪
本日のメニューはファミマのスイーツ「
ホワイトチョコ&ストロベリーワッフル」
しっとりもっちりワッフル生地に、見た目ほどくどくない、ストロベリークランチをあしらったホワイトチョコの程よい甘さがVery Good♪
鳥羽の島々の絶景をお供に、本年最初の山おやつ。大変おいしゅう頂きました~
今年一年も、美味しい山おやつを味わえますように~(笑)
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新年明けまして初山おやつ♪ ホワイトチョコ&ストロベリーワッフル♪ |
朝熊山最高峰、朝熊ヶ岳山頂へ
山上広苑でまったりとした時間を過ごしたところで、朝熊ヶ岳山頂(555m)を目指し、再び金剛證寺へと引き返す。朝熊ヶ岳山頂までは、金剛證寺本堂奥の登り口からおよそ10分。山頂には、麓からもよく見える、地上デジタル放送の中継塔と、八大竜王のお社が並んでいる。数年前までは、アナログ放送の中継塔も並んでいたが、役目を終えた鉄塔は既に撤去されてしまい、わずかにその跡地だけが残っている。ここにもまた一つ、過ぎ去りし時代の流れが見え隠れする。
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山上レストハウスより朝熊ヶ岳(右)と経ヶ峰(左)を望む |
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朝熊ヶ岳山頂の八大竜王社と地デジの中継局 |
宇治岳道をゆく
新春の朝熊山上散策を存分に満喫した後は、朝熊峠から内宮を目指して、宇治岳道へ。
ここから内宮まではおよそ六十町。約6.5km。この距離のせいか、朝熊岳道とは一転、歩く登山者の姿はぱたりとなくなってしまう。暫くは荒れた舗装路が続くが、この一帯はケーブルカー山上駅にかけて、昔の繁華街の夢の跡。朽ち果てた石垣の並びに、往時の隆盛が垣間見える。
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貴重な道路遺産、宇治岳道をゆく |
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こちら現在の岳道。伊勢志摩スカイライン(有料) |
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木漏れ日の宇治岳道。 |
宇治岳道は、本当に下山しているのか?と心配になるくらい、傾斜のない緩やかな登山路が延々と続いている。朝熊岳道のように、規則正しく続いていた町目の石碑も次第に現れなくなり、本当にこの路であっているのか、益々不安になってくる。
朝熊峠から延々1時間。行けども行けども終わりの見えない行程に、辛抱たまらずに大休止。いざ(?)という時に備えての腹ごしらえとする。今日はちょっぴり正月らしく、お餅2個入り塩ラーメン♪すきっ腹で食べる野外ラーメンの何と旨い事!
腹一杯で、暫し日当たりのよい南斜面でまったりと・・・。足元にうねるのは恐らく伊勢道路、目の前に連なるのは、山伏峠から神宮神域にかけての山並みだろうな~とおぼろげながら想像する。ここまでくれば、最悪なんとか麓までいけるでしょう~。と、幾分余裕も出てきての再始動。
と思いきや・・・歩き始めてわずか10分少々。ひょっこりと下山口・・・神宮司庁の職員駐車場裏手にたどり着いてしまって、いと拍子抜けなり~!(苦笑)
後から地図で確認してみたが、不安たらたらに大休止した地点は、既に楠部山の西隣のピーク付近まで(つまり下山口そばね♪)降りてきた辺りの様である。
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お餅入りでちょっぴり新春気分を♪ |
人気ない宇治岳道の静寂から一転、新春のおはらい町の雑踏の渦の中へ・・・
着飾った参拝客の群れの中、小汚い登山靴とザック姿に若干の場違い感を感じつつも、お約束の内宮へ。
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やっと到着・・・お伊勢さん♪ |
縦走の締めは、神宮カケチカラ会の皆さんが振舞う恒例の甘酒を♪
我が明和町発祥のカケチカラ会の甘酒の振る舞いは、新春のお伊勢さんの恒例行事。毎年これを飲んで、ようやく新春を迎えた気分になるというもの。カケチカラ会の皆様、毎年毎年、本当にご苦労様です。
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縦走の締めに温かい甘酒で一服~♪ |
朝熊もかけたよ伊勢参り♪
充実したお伊勢参りで霊験もあらたかに・・・今年一年、やるべきことはやる!決して悔いのない充実した一年となりますように。
にしても、総歩行距離17km~18km?
新春早々にしちゃ~きつかったよな~
こりゃ絶対ご利益あるでしょ~に~・・・きっと・・・(苦笑)
新春の朝熊山散策をアルバムにしました。よろしければ以下のリンクからど~ぞ♪
↓↓↓
新春の朝熊山をゆく
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