2012年5月19日(土)晴れ
【標高】
ロッジさらくわ(0m)~座佐の高(ざさのたか 429m)
【コースタイム】
ロッジさらくわ駐車場(7:55)~たまご浜(8:25~8:50)~座佐の尾根道分岐(9:15)~座佐浜(9:40~11:30)~
南尾根(中電尾根)~座佐の高第2ピーク(13:15)~分岐引き返し~座佐の高第2ピーク(13:45~14:10)~
芦浜道分岐(14:20)~沢筋出会(14:45)~新桑不動の滝~吉田橋(15:53)~ロッジさらくわ(16:05)
南尾根(中電尾根)~座佐の高第2ピーク(13:15)~分岐引き返し~座佐の高第2ピーク(13:45~14:10)~
芦浜道分岐(14:20)~沢筋出会(14:45)~新桑不動の滝~吉田橋(15:53)~ロッジさらくわ(16:05)
海跡湖。
かつて海だった所が砂丘,砂嘴(さし),砂州の発達により海岸の湖沼となったもの。
南伊勢の近辺では、海跡湖と呼ばれる地形にいくつも出逢う事ができる。
先日訪れた塩竃浜しかり、相賀浦の町自体も、巨大な海跡湖「大池」の畔に軒を連ねる港町である。私と海跡湖との出逢いは、南伊勢と大紀町との堺にある芦浜から。美しき海岸線と奇跡的に隔離された豊かな汽水域の絶妙なるコラボレーション。初めて目にする自然界の造形の妙に甚く感動した記憶がある。
その芦浜から、緑深き稜線を挟んだ東隣。波穏やかな南伊勢の古和浦の海岸沿いに、芦浜池よりも一回り大きい海跡湖を地図上に確認する事ができる。
「座佐浜」と「座佐池」。
そこは、海山美しき南伊勢の片隅で、まるで俗世から隔離されたかの様に、人知れず奏でられる自然界の二重奏。海上から、あるいは山道を越えなければ辿りつけない、この手つかずの自然の造形美を堪能するために、五月晴れの一日、みたび南伊勢の美しき海岸線を周遊する。
座佐の高南尾根(中電尾根)より座佐浜と古和浦を望む |
新桑竃の集落の奥。ロッジさらくわがスタート地点。
早朝の静かな駐車場に車を停車して、本日最初の目的地「たまご浜」を目指して出発。
地図上で確認すると、たまご浜への道の取り付きは、裏手の細い用水を渡った対岸にある筈・・・
用水をやや上流に遡った対岸に、赤いテープの目印を見つけ、疑いもなく山道へと取り付く。
しばらく斜面を這い上がるが、浜を目指すどころかどんどんと標高を稼いでいる雰囲気。何か変?
しばらくすると、踏み跡もはっきりとした稜線上の路に合流する。
どうやら本来の路を大きく西に外れて、座佐の高の北側の稜線上(座佐の高道と呼ぶらしい)に乗っかってしまった様だ。このままたまご浜をパスして、座佐の高に直登し、それから座佐浜に降りるルートも考えたが、せっかくなので、第一目標の「たまご浜」を目指して稜線を下山する事とする。若干想定外のタイムロス&体力ロス・・・(疲)
※これが座佐の高山頂でのハプニングの序奏へと・・・(苦笑)
至高の周遊コース♪ |
たまご浜、名前から想像される穏やかな響きとは裏腹に、ゴロゴロとした岩が敷き詰められ、傍らには朽ち果てた漁船の残骸が横たわる。一見いかにも硬派な雰囲気漂う海岸だ。
しかしながら、古和浦最深部に面した入り江の水面は穏やかで、菜の花に似た黄色い花の群落が荒れた雰囲気の海岸に、柔らかな落ち着きを添えている。花の名前は「イワタイゲキ」。何ともいかつい名前だが、この浜においては貴重なる一服の清涼剤。
潮風に揺れる淡く優しげな色彩に、しばし初夏の頃の、どこか穏やかで静かな浜辺の雰囲気を堪能する。
ゴロゴロとした岩の海岸 |
たまご浜から座佐浜へ。古和浦沿い、常緑の雑木林に覆われた尾根道を緩やかにトレースしていく。路が座佐の高への尾根道の分岐に合流する頃、古和浦側に大きく開けた展望地に到着する。朝陽にきらきらと輝く波穏やかな古和浦の水面に、マグロ養殖の生簀が美しい幾何学模様を描いている。対岸の半島部は、南伊勢の海岸を象徴するリアス式の荒々しい断崖壁が、す~っと海に流れ落ちている。そんな険しい海岸線に囲まれる一隅に、対照的に緩やかな弧を描く美しい砂浜が横たわっている。浜の奥には満面と水を湛える海跡湖。天神山の稜線の麓に奇跡的に隔離された海跡湖「薄月池」だ。ここにも砂州と海跡湖の美しきコラボレーション。潮の流れが作る自然の不思議な芸術作品だ。
今のところ、この浜へ歩いて訪れた報告は見た事がない・・・果たしてこの浜にたどり着く陸路はあるのだろうか?こちらも、ぜひともいつかは足を踏み入れてみたい海岸だ。
対岸にも海跡湖の薄月池 |
程なくして、山道は樹林に囲まれた枯れ沢の下りへと。
路が平坦になり始めた頃、木漏れ日光る新緑の林の向こうから、緩やかなリズムで打ち寄せる優しげな波音が聞こえてくる。テンション最高潮♪。いざ光差す方角へ!
最後の林を抜けると、目の前には、五月の晴れやかな青空の下、両手を広げるかの様に美しき海岸線がお出迎え。 緩やかに弧を描く美しき海岸線。「座佐浜」に到着だ。浜のスケールは今までのどの浜よりも一回り大きい。芦浜の様に直接外海に面していない分、心なしか打ち寄せる波は優しげだ。
浜の全貌を眺めたくてちょっとした崖によじ登ってみる。玉砂利の様にざくざくした浜を思わず童心に戻って駆け回ってみる。優しく奏でられる波音に聞き入りたくて、そっと浜辺に寝そべってみる。人気ない海岸にただ一人。豊かな自然に溶け込んでしまうかの様な柔らかな一体感を感じつつ、至高の浜辺を独り占めするこの上もない贅沢な幸せを、心よりひしひしと噛み締める。
も~っ最高♪
座佐浜ブラボ~。
美しき弧を描く座佐浜の海岸線 |
広大な座佐浜の奥。これまた今までよりも一回り大きな海跡湖、「座佐池」が満面と水を湛えている。湖畔には、たまご浜同様、イワタイゲキの群落が柔らかく岸辺を彩っている。豊かな水面に影を落とすのが、本日の目的地「座佐の高」。低山ながら、四方に尾根を張る堂々とした山容が、青空と湖水に映えて想像以上に立派に見える。新緑に萌える山肌も、五月晴れの下すこぶる美しく色づいている。
座佐池は座佐の高の稜線に区切られて、こちら大きな北池と小さな南池の二つに分かれている。
座佐池より座佐の高 |
稜線で区切られた南池は、深緑の湖水を静かに湛えて、どこか神秘的な雰囲気。湖面に映えるハマナツメの新緑が、神々しい雰囲気を控えめに演出している。
神秘的な海跡湖、座佐池(南池) |
座佐浜の南には、美浜一転、散策に手頃な美磯が、古和浦の清き水面に洗われる様に連なっている。巨大な岩のオブジェを見渡しながら、しばしこの美磯を散策する。岩を洗う海水は、内海とは思えぬほど、どこまでも美しく澄み渡っている。
水清き古和浦 |
この美しき古和浦の水面を堪能しつつ、毎度お馴染みおやつタ~イム♪
今日は和風に「桜餅~!」
前日、会社帰りのいつものディスカウントショップ。お菓子コーナーに並ぶ88円の和菓子セット♪
目移りする和菓子の群の中、一際目に付く季節の彩り。桜餅6個入り、わずか88円也!(安っ)
ほのかな桜葉の香りの中、桜色のもちもちお餅に、しっとりこしあんの絶妙なハーモニー♪
美しき景観に、ほのかに色づく桜色。日本人の美的センスに感動しつつ、6個丸ごとぺろりあ~ん♪
大変おいしゅう頂きました~
美しき古和浦の水面に♪ |
爽やかな五月の空の下、ま~ったりと座佐浜を満喫する事2時間少々!離れ難き楽園に後ろ髪を引かれつつも、座佐の高目指して再始動。
浜の南側斜面、見落としてしまいそうな赤いテープを目印に、稜線への急登を一気に這い上がる。
程なくして、抜ける様な青空が頭上一杯広がって、目の前にどこまでも青き熊野灘の大海原が、じゃじゃ~んっ!と満を持しての大登場っ!思わず絶句のオーシャンビューっ!
座佐の高南尾根(中電尾根)、断崖絶壁をゆく |
高所恐怖症の方は、思わず足がすくみそうな高度感。恐る恐る体を乗り出してみると、眼下にはまるで夢の様に美しく輝くエメラルドグリーンの大海原。南伊勢の山歩きガイドには、「絶壁危険」と記され、あえて登山路が描かれていないが、実際にはしっかとした稜線道が座佐の高山頂に向かって延々と連なっている。空と海の合間を漂う様な爽快な稜線散歩。そこは「天空海道」とでも名付けたくなる様な至高の稜線道。座佐浜まで訪れて、ここを通らずして帰ってしまうとは・・・いわばおかげ横丁に寄らずして帰るお伊勢参りの様。あ~もったいない・・・。いや何のこっちゃ・・・・(苦笑)
この稜線路、芦浜原発測量のために中電が開拓した路だろうか、数メートル置きに中電の石標が埋め込まれ、誰が名付けたか「中電尾根」とも呼ばれている。
座佐の高より座佐浜と座佐池(北池)を望む |
左手に熊野灘のオーシャンビュー。右手後方、ちらりと古和浦と座佐浜の美景観。一部、芦浜と芦浜池の絶妙なるコラボレーション。至るところで爽快なる眺望を楽しめる一方、標高差430mの山頂まで、小刻みなアップダウンを繰り返しながらたっぷり2時間近く。歩き応えも十分な稜線漫歩だ。
漸くたどりつく座佐の高山頂は、これと言った標識もなく、やや拍子抜け。とはいえ、古和浦側に開けた展望は相変わらずの爽快感。美しき海岸線を描く座佐浜と座佐池のコラボレーションが、本日の山歩きの締めを飾るに相応しく、眼下に美しく横たわっている。
また一つ。南伊勢の隠れた名山との出会いを一人しみじみと噛み締める。
・・・と思っていたら・・・
俄かに左足のふくらはぎがつってしまい、静寂の山頂にて、一人苦しさでしこたまのた打ち回る・・・
高をくくっていた、想像以上の足への疲れ・・・
南伊勢の低山あな恐るべし・・・・(苦笑)
沢音涼しげな芦浜道を下る |
下山は姫越山への尾根道をしばらく下り、つづら折れの芦浜道へ。
先日の切間の八~タコラ山の時同様、海の傍とは思えぬほど、立派な沢沿いの登山路が続いている。水量はむしろこちらの方が立派。そこかしこで、絵になる小滝に出逢う事ができる。主役は、「新桑不動の滝」。落差15mほどの二段の滝が、新緑の木々に覆われて涼やかな沢音を響かせている。
新緑の新桑不動の滝 |
一日たっぷり、海と山の周遊コース♪
また一つ。南伊勢に名峰あり。
座佐池あっての座佐の高。
南伊勢の海跡湖を巡る山旅は、自然の偶然なる芸術作品を、心より堪能できる至高の周遊コースを約束してくれる。
そんな素敵な南伊勢の海山道。これからも、ますます深みにはまりそう。
でもね・・・
夏場はちょっとお休みね♪
だって、低山、暑すぎっ・・・(爆)
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